強声部と弱声部、表間と裏間 (各音節の強弱と拍子)
1、 言葉の強弱と緩急
(1)言葉に強弱、緩急があって、日常語や、歌や、詩、などが音楽と
して 表現されます。
言葉を構成する、一つ、一つの音節(単語を構成している音の
一単位)が持っている、日常語の中での、自然な強弱について
考えてみます。
例 「雨が降る」(ア メ ガ フ る)を、どの音節も同じ大きさ、
同じ音の高さで読むと、意味が、聞き手に伝わりにくいです。
これを普通に読むと、日本語の高低アクセントとは別に、言葉の
持つ自然な強弱があることに氣ずきます。
これは、高低のアクセントではなく、強弱の関係です。
(2)リズムと拍子
リズムとは、強弱の関係が、規則正しく反復されることをいいます。
ワルツは、三拍子、イチニッサン、イチニッサンと、規則正しく
繰り返されますが、日本の音楽、純然たる邦楽の場合の、拍子とい
うのは、リズムではなく「間」です。
「間」というのは、強弱の反復ではなく、ある音を発して、
次の音に出発してよろしいという合図が「間」です。そして、一般
に邦楽の拍子は、二拍子です。
邦楽は、二文字単位
これは、日本語がニ音節で構成されていることが多いからです。
邦楽は何でも二文字単位で歌う習慣が有ります。
例 「春の風吹く都には」という歌詞の場合、「はる~ のオ~
かぜ~ふく~みや~こ~ には~ 」ほぼ二拍子になっています。
(3) 強声部と弱声部
は」る、の場合 「は」は強く、るは弱く発声します。「は」
は 強声部で「る」は、弱声部です。のオの場合は 「の」は強く
「オ」は弱く発声します。下げる時は自然に音は強くなるが、上に
上げる時は意思の力は強く働かなければなりません。
強から弱までを表間といい、弱から強までを裏間といいます。
表間が強いところを強声部、裏間は声の弱いところ、
弱声部になります。
(4) 弱声の発声法
① 弱声(芯のある小さい声)
吟詠でいう弱声とは、一般に言う弱々しい声とは異なり、
芯のある小さい声であり、聞く場所の遠近を問わず、はっきりと
小さく聞こえることが大切です。
ささやき声ではいけません。
② 弱声の発声法
芯のある小さい声は、意識によって、胸郭の共鳴容積を出来るだけ
圧縮し小さく力強く、吟じます。
この時、吟声が弱々しくなっては、いけません。そのため胸郭の
共鳴容積をうんと小さくして、精いっぱい吟じることが大切です。
すなはち、胸郭の共鳴容積ををうんと小さくして、
呼気の量を変えない気持ち で吟じること。
物理的に、胸郭の共鳴容積を小さく出来ないので、吟者の意思に
より共鳴容積を、変えることが大切です。